非破壊化学分析法による先史東・東南アジア石器・石製品石材とその供給地の研究

研究者:吉田 泰幸(代表・形態文化資源部門-特任准教授)
          飯塚 義之 (形態文化資源部門-客員研究員)
          山形眞理子 (形態文化資源部門-客員教授)
          深山絵実梨 (東京藝術大学社会連携センターユーラシア文化交流センター特任助手)
          鈴木 朋美 (奈良県立橿原考古学研究所 技師)
      

目 的: 北東、東アジアから東南アジアでは、俗に「軟玉」と称されるネフライトが利器や装飾品として古くから珍重されていた。中でもベトナム北部にネフライトを用いた利器・装飾品の工房遺跡が集中しており、それらの石材と供給地の研究が蓄積している。これに対し、日本ではネフライトが利用されていたという認識がほとんどなかったが、近年、北信越地方の旧石器時代後期~縄文時代、関東地方の縄文時代の出土遺物の一部からネフライト(透閃石岩)製石器の存在が確認され始めている。  本研究では、石材の正しい理解は、石器の種類やその用途、製作技法を解明する上で重要であり、特定の石材の来源を知ることができれば、石器文化の変遷や地域間の相違と交流を知る上で有用な情報となるという認識のもと、非破壊化学分析法を用いて、広く石器石材の同定を推進していきたい。天然の岩石と石器の分析を並行することで、同定の確からしさを向上させ、かつ、石材産地の推定に繋がるデータの蓄積を試みることにより、先史東・東南アジア石器・石製品石材とその供給地の研究を深めることを目的とする。

概 要:ベトナム北中部の新石器〜青銅器時代遺跡、日本の縄文時代、特に北陸地方から関東地方を中心とした石器・石製品石材の非破壊化学分析を行う。

1. 非破壊で石器の化学分析が可能な携行型蛍光X線分析装置を資料収蔵庫に持ち込み、できる限り多くの石製遺物の石材鑑定を実施する。

2. 確認したネフライト製石器の典型例一部を台北の『実験室』に借用し、低真空電子顕微鏡とエネルギー分散型X線分析装置を用い、非破壊定量化学分析を行う。得られた分析結果は天然ネフライトのデータ(地質学的情報)と比較し石材の来源を探る。

3. 上記の「1」,「2」の分析結果に基づき、先史時代の石器・石製品石材の種類やその分布範囲と供給地を整理し、文化や地域間のつながりを考察する。

 成 果