国内

国立民族学博物館

 国立民族学博物館の共同研究として、鏡味治也が代表となりセンター所属の文化人類学研究者である西本陽一・松村恵里・田村うららも参加する共同研究「生活用品から見たライフスタイルの近代化とその国別差異の研究」が平成26年度に採択され、民博所属の研究者5名を含む総勢13名の参加者を得て、同年10月から平成29年3月まで国内打合せを年3回程度開催し、世界の生活用品に関する研究を行っている。
 また平成27年度には、同じく国立民族学博物館共同研究として、ジョン・アートルを代表者とし、センター所属の吉田泰幸も参加している共同研究「考古学の民族誌:考古学的知識の多様な形成・利用・編成過程の研究」が採択され、民博所属の研究者4名を含む総勢19名の陣容で、同年10月から平成31年3月まで国内打合せを年3〜4回程度開催し、考古学的実践の民族誌・歴史的研究を行っている。

東京文化財研究所

 2014年3月に、金沢大学は独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所(以下、東文研)と文化資源学分野における研究協力協定を締結した。東文研は、文化財の修復に関する調査研究を専門とする国内有数の研究機関であり、その活動は国内だけでなくアジアやヨーロッパなど海外における文化遺産国際協力分野にまで及ぶ。
 国際文化資源学研究センターは、東文研との研究交流により、文化資源学を発展させるための研究手法の深化を試みる。特に、国内外の文化資源学に関わる現場で、しばしば喫緊の課題として直面する文化遺産の保存修復や活用の問題解決に、本学術交流は寄与すると考えられる。今後、双方の研究者による共同研究の実施も予定されており、学術交流が一層促進されることが期待されるともに、同共同研究に学生を参画させることで、文化遺産国際協力や文化財の修復を担う人材育成の促進なども望まれる。

海外

アルメニア科学アカデミー考古学民族学研究所

 本研究交流は、アルメニアの文化遺産分野の調査研究や保護における日本・アルメニア間の研究・教育面での人的交流の促進を目的としている。国際文化資源学研究センターとアルメニア共和国科学アカデミー考古学民族学研究所との研究交流は、2012年度の日本学術振興会の「頭脳循環を活性化する若手研究者海外派遣プログラム」によるセンター所属研究者の長期派遣から開始された。研究交流は、続く日本学術振興会二国間交流事業(共同研究: 2013年8月~2015年7月)「コーカサスにおける先史時代遺跡の立地と景観に関する考古学研究」(代表者:藤井純夫教授)により継続されてきた。これまでの研究交流によって、共同研究の実施、国際ワークショップの開催、研究協力・合同調査をベースにした概説書『アルメニアの石器時代』の出版などを成功裏に行ってきた。今後もこうした研究交流を継続しつつ、新たな共同研究分野の開拓や合同調査を通じた教員・院生・学生の相互交換などの更なる展開も期待される。

ホンジュラス国立人類学歴史学研究所

 2013年2月に金沢大学学長を代表とする視察団が訪問し、大学間交流協定が締結された。形態文化資源部門の中村誠一教授ら中米ユニットがホンジュラスで活動を展開している。研究面では、世界文化遺産「コパンのマヤ遺跡」における考古学的調査研究、凸版印刷と共同でバーチャルリアリティ(VR)技術を活用したコパン遺跡中心部の3Dデジタルアーカイブの作成とその博物館展示や講義・講演会への応用研究や、エル・プエンテ遺跡博物館、コパンデジタルミュージアムへの学術協力・展示協力を行ってきた。教育面では、2013年に大学院博士課程教育リーディングプログラム「文化資源マネージャー養成プログラム」の現地研修が行われ、毎年、大学院生の学位論文作成のためのフィールドとなっている。人材育成面では、JICAの委託研修事業を通じて、これまでに5人の研究所職員・研究員が本学で研修を受けており、研究所長の本学訪問や特別講演会も行われている。

グアテマラ文化自然遺産副省

 2011年6月に金沢大学研究担当理事・副学長を代表とする視察団が訪問し、大学間交流協定が締結された。形態文化資源部門の中村誠一教授ら中米ユニットがグアテマラで活動を展開している。研究面では、世界複合遺産「ティカル国立公園」北のアクロポリスにおける発掘調査など考古学的調査研究を展開するとともに、ティカル遺跡の文化資源を活用して周辺村落住民の生活向上につなげる方策を開発・支援する草の根技術協力プロジェクト(JICAからの委託事業)を実施中である。ユネスコ日本信託基金による北のアクロポリス保存プロジェクトへの参加も調整中である。教育面では、毎年、大学院生の学位論文作成のためのフィールドとなっており、人材育成面でも、JICAの委託研修事業を通して、これまでに10人の文化自然遺産副省の職員・研究員が本学で研修を受けており、文化スポーツ大臣、文化自然遺産副大臣の金沢大学訪問や特別講演会も行われている。

金沢大学内のプロジェクト

新学術創成研究機構

 2015年4月1日、学問の分野融合や国際的な頭脳循環の更なる強化を目的として、金沢大学に新学術創成研究機構が設立された。本機構内の研究部門には、3つの研究コアが設置され、それぞれに4つの研究ユニットが所属している。そのうちの「未来社会創造研究コア」には「文化遺産国際協力ネットワーキングユニット」が置かれた。本研究ユニットの構成員は、国際文化資源学研究センター所属教員10名であり、従来の文化資源学の研究グループから派生した新たな研究ユニットである。本ユニットの目的は、金沢大学を中心とした文化資源学に関する国際的な研究ネットワークを確立することである。本ユニットも、これまでと同様に、国際文化資源学研究センターが重点的に取り組んできた文化資源学の方法論的深化と実践を研究目標の1つとして継承する。その一方で、特に本ユニットでは、所属教員が国内外で実施している文化資源学に関する研究プロジェクトを横断する形で研究ネットワークを形成することに重点を置く。研究ネットワークの形成により、文化資源学の実践と発展に寄与する情報共有や人的交流が促進され、また、文化遺産国際協力分野の諸問題に対して金沢大学が迅速に対応できるような知識や情報の共有が強化されると考えられる。

超然プロジェクト 文化資源マネジメントの世界的研究・教育拠点形成

 超然プロジェクトとは、本学が優位性を有する研究領域を重点的に支援し、世界的な拠点形成をめざす取り組みである。われわれは平成27年度に「文化資源マネジメントの世界的研究・教育拠点形成」のテーマで採択された。これまで国際文化資源学研究センターを中心に手掛けてきた研究・教育・国際貢献事業をさらに展開強化し、同センターを「文化資源マネジメント」の世界的研究・教育拠点に育てることを目的とする。
 本プロジェクトでは、すでに国内トップレベルにある外国考古学研究だけでなく、イタリア壁画で実績のある文化財保存技術の開発、人類普遍の価値を有する文化遺産を次世代に引き継ぐための世界遺産マネジメントの手法確立、若手研究者の海外派遣による人材育成、さらに、英文のオンライン・ジャーナル発行による国際発信力強化などを推進している。また、リサーチプロフェッサー制度を活用して、西アジア考古学や日本宗教史などの先鋭化を図る。こうした取り組みによって、文化資源学分野における国内最高峰の地位を確固たるものとする。

フレスコ壁画研究センター

 2004年から日伊共同で取り組んできたフィレンツェのサンタ・クローチェ教会壁画(アーニョロ・ガッディ作 「聖十字架物語」 1380年代)の修復プロジェクトの成功実績に基づき、文部科学省の特別経費を得て、すでに緊密な協力関係にあった国立フィレンツェ修復研究所と連携し、南イタリアの中世壁画群の調査・研究を実施することになった。
 2010年5月、南イタリアに散在する中世洞窟教会壁画群診断調査プロジェクトの拠点として「フレスコ壁画研究センター」が金沢大学人間社会研究域に設置された。そして、イタリア国立フィレンツェ修復研究所との調査研究協力に関する合意書が調印され、ここに金沢大学の新たな挑戦─人文系、芸術系、工学系、医薬系などの多岐にわたる分野の研究員がともに取り組む画期的な挑戦が4年計画でスタートした。壁画の現状は高精細デジタルカメラのほか、2種類の3Dスキャナや赤外線サーモグラフィ、色差計、水分計、マイクロスコープなどの最新の科学計測機器を駆使して分析診断され、調査を実施したすべての壁画は、歴史的文化遺産として未来に伝えるべくデジタル・アーカイブ(データベース)に記録された。
 「フレスコ壁画研究センター」は、当初の予定を延長して2015年10月まで活動を継続し、以後はそのすべての活動を「国際文化資源学研究センター」に移行して、「文化遺産としての壁画保存」という大きな課題に取り組んでいる。
 「フレスコ壁画研究センター」は、文化遺産としての壁画の保存修復活動と並行して、サンタ・クローチェ教会壁画の修復プロジェクトにおいては14世紀のイタリアで完成したフレスコ画法の研究をテーマとし、南イタリアに散在する中世洞窟教会壁画群診断調査プロジェクトにおいては、フレスコ画法成立以前の壁画技法の研究をテーマとしてきた。今後は壁画文化のルーツをイタリアからさらに東へ移し、ギリシアやトルコを中心にビザンティン壁画の技法に関する研究テーマを掲げて新たなプロジェクトを準備中である。

連携機関

学術交流